WSET Diploma ヴィクトリア(ヤラ・ヴァレー、モーニングトン・ペニンシュラ)

こんにちは、Aoyama Wine Base のフィゴーニです。

本日はオーストラリアのヴィクトリア州の代表的な産地のご紹介です。

ヤラ・ヴァレー

気候

マクロ気候は、オーストラリアの中でも冷涼な産地。ヤラ・ヴァレー南にはバス海峡があり、南極の冷たい海が流れ、冷涼な風をもたらすため、全体的に冷涼な気候区分になる。ボルドーよりは冷涼でブルゴーニュより温暖な気候なため、早熟なピノやシャルドネが有名ではあるものの、晩熟のカベルネやシラーまで様々な品種が植えられる。

1980年台後半より、評論家のジェームズ・ハラデーがピノの産地として有名にした事で、ピノの高品質産地として注目されるようになった。

ヤラ・ヴァレーを大きく二つのエリアに分けてみる

ヤラ・ヴァレー北西のエリアは標高が低く、より暖かい。土壌は痩せて排水性が良いため、灌漑が必要になる場合が多いが、完熟した身の小さい葡萄から色が濃く、タンニンがしっかりと感じられるワインになる事が多い。

これに対して、北東のエリアは標高がより高く冷涼で土壌も火山性の肥沃な土壌が主体であるため、収穫された葡萄の酸はより高く、ミディアムボディでエレガントなピノやシャルドネが作られる事が一般的である。

醸造

ピノは全房発酵や、精細な果実味を活かすために、大樽で熟成する事が多い。

シャルドネは濁度の高い状態(果皮由来のタンパク質や糖質などの固形物)での発酵により、仄かにH2Sの香りを残す事もある。また、シュールリーも行われるが、MLFはあまり行われない。おそらく、旨味は足したいが、酸味は落としたくないのだと考える。

モーニングトン・ペニンシュラ

こちらはバス海峡に面しているため、冷涼な海風が吹き、一般的にはヤラ・ヴァレーより冷涼な気候になる。また、海の緩和効果により秋の気温の低下が緩やかなため、葡萄の生育期間が伸び(ある程度暖かくないと光合成ができな)、葡萄の糖度や風味(フェノールを含め)が完熟する可能性が高くなる。ただ、開花や結実時の風や低気温は結実不良などを招く事もあり、収穫量を下げる要因にもなる(必ずしも品質が下がるわけではない)。

地形は平な部分が大半を占め、排水性が良いため灌漑が必要になる場合が多く、適度な水分ストレスを促せば、樹勢も下がり、凝縮したブドウができる。

反対にレッド・ヒル(標高250m)は赤色の玄武岩で保水性が良いため、灌漑が必要ない場合が多い。ただし、土壌が肥沃であるため、樹勢をコントロールするために葡萄の木を大きく仕立てる(Lyre system)を使う生産者もいる。ただし、その分、ブドウの凝縮感が薄まり、よりエレガントなワインになる事が多い。

つまり、レッド・ヒルのワインのスタイル(ピノ・ノワール)はライトボディでアロマティックなスタイルが主流なのに対し、平地のピノは凝縮感があり、タンニン分が多く、フレンチオーク(一部新樽)を使う事も多いため、よりリッチでパワフルなワインのスタイルになる傾向がある。

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