シュナンブランの考察- Alheit Vineyards, Nicola Joly

こんにちは、

Aoyama Wine Baseのフィゴーニです。今日はシュナンブラン(品種)について語ります。ソムリエやWSET勉強されてる方には参考になる情報もあると思うのでご一読いただければ幸いです。※下記2001年のCoulee de Serrantを初めてテイスティングしました。

第一印象は出汁と枯感を強く感じましたが、飲口は滑らかで角がとれ、余韻の長さはさすが大御所のワインという風格がありました。

【品種特徴とスタイル】

シュナンブランと言えばソムリエなら誰しも知っている品種ですが、

日本では一般的な知名度は低い品種だと思います。

その知名度の低さとは裏腹にシャルドネやリースリングに並ぶ

高品質なワインが生産され、

非常にコストパフォーマンスが高いワインが多いと感じます。

栽培面積の広さ、生産量と知名度ではフランスのロワール地方と南アフリカが最も有名です。

また、スパークリングワインから辛口、甘口ワインまで

様々なスタイルが生産される所も魅力の一つですね。

品種個性は

発芽が早く晩熟な品種なため、

長い生育期間を必要としています。

(反対に、ソーヴィニオンブランは発芽が遅く早熟なため、

生育期間が短く冷涼な産地に適していると言えます。)

フランスのロワール地方の場合、緯度が高く冷涼な気候のため

南向き斜面で痩せた土壌で(樹勢が比較的強い)栽培されると

長い生育期間を通して完熟し、

高品質なスティルワインが生産されます。

また、皮が薄い品種でもあるため、

ロワールのレイヨン川など湿度や霧の発生する場所で栽培されると、

ボトリティスと呼ばれる貴腐菌が付着する事で、

ブドウが萎れ貴腐ワインができます。

※ボトリティス由来のソトロン(ラクトン類の一種)と呼ばれる物質が

低濃度だと蜂蜜のような香りに感じ、高濃度だと漢方薬のような香りに感じるようです。 

また、ワインの酸化熟成によってフルフラールと呼ばれるアーモンド臭に似た物質も増加するようです。

スパークリングワインの生産では、

北向斜面や平な土地で日照量の比較的少なく肥沃な土壌での生産が多く

樹勢が強くなりやすく、収量も増えるため、

ブドウは熟度が比較的低くなるようです。

また、ブドウも肥大し、酸が高くなる傾向があります(元々酸の高い品種でもある)。

高品質な赤ワインを作る上では実が小さい方が凝縮感に繋がりよいとされる場合がありますが、

スパークリングワインは基本的に皮の成分の抽出を抑えたいため、

身が小さいとフェノールなどの苦味成分や色の抽出で逆に品質が落ちる場合があると言われます。

房毎のブドウの成熟スピードが異なるため(プリミティーボも同じく)、

収穫時には何度も収穫を分けて行う必要があり、

収穫のタイミングの見極め、手収穫(機械収穫は現技術では難しい)など手間とお金がかかるため、

比較的生産コストが高くなる傾向があると言われます。

【Aoyama Wine Base 取り扱いシュナンブラン】

下記は南アを代表するワイナリーAlheit Vineyardsのつくる

シュナンブラン90%とセミヨン10%のブレンドワインで、

100%株仕立てのブドウを使用しています。

若いヴィンテージ(2018)なりにも、

しっかりとした蜜感に熟したストーンフルーツやライムの香り、

クリーミーなテクシチャーと

長い余韻を感じることができます。

Tim Atkin95点、ワインスペクテーター93点の評論家も絶賛のワインです。

ご興味のある方、是非下記よりご購入いただければと思います↓

【スティルワインの醸造】

基本的にはアロマが強い品種のため、それを活かす醸造手法のため、

発酵や熟成容器はニュートラルなステンレス、セメントや

古樽が使われます。

また、基本的にはMLF(マロラックティック発酵)は行いません

(バターやクリームのような風味が品種由来の香りを阻害するため)。

特に安ワインはコストを下げる目的もあり、発酵温度は低く

還元的に作り第一アロマを出す作りが主流です。

シュールリーや新樽熟成もそのため行わないことが多いです。

しかし、高品質ワインの場合は、

 "すっきりさ"より"重厚さ"が重んじられる場合が多く、

香りのみならずワインのテクシチャーを良くする事を考えます。

そういう観点から、酸化的な作り(木樽熟成)やシュールリー(澱の上でワインを寝かせる)など

ワインにボディ、ふくよかさ、複雑性と奥行きを与える場合が多いです。

新樽との相性も良いため、トップレンジだと使われることも多いです。

ただ、シュナンブランの品種由来の香りが豊富なため、

それを活かす比較的低温での発酵が実践がされる事が多いようです。

【代表生産者】

FRANCE

Quarts-de-Chaume AOC (甘口)

・Chateau de Suronde

・Chateau de la Roche Moreau

Savennieres AOC (辛口)

・Nicolas Joly (Clos de la Coulee de Serrant)

・Savennieres Roche-Aux-Moines AOC

SOUTH AFRICA

・David & Nadia (夫婦経営。夫が栽培家で妻が地質学者)

・Alheit vineyards (自分の畑は所有していないが最も評価されているシュナンブランを生産している)

・Raats Family (Stellenbosch)

・Saddie Family (Swartland)

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