"ビオ臭"とは!?オーガニック、ビオディナミ、ナチュールはブラインドで見極められるのか?

こんにちは、Aoyama Wine Baseのフィゴーニです。

本日はワイン界で使われる"ビオ臭"ついて説明します。

個人の見解も含みます点、ご了承ください。

ワイン通ならよく聞く"ビオ臭"。

"ビオ臭、ビオ臭"と業界にいると日常的に聞きますが、"ワイン英語"では聞いた事がない表現でしたので、日本語の文脈でどのように使われているか疑問を持ったのが発端です。

そもそも、英語の"ビオ"を日本語に訳すと、生物や生物学などを意味しており、つまりビオ○○となると、生物に関わる言葉だという事がわかります。ワインの文脈で"ビオ"という言葉は"ビオ"-ディナミもしくは"ビオ"-ロジックの事を指しているのだと考えられますが、どちらの事を示しているのか、"ビオ"だけでは判かりません。

そして、ビオロジックやビオディナミ意外にも、オーガニックやビオディナミ農法を元にワイナリーで「何も足さない、何も引かない」思想を実践するのが、俗に言うナチュラルワインです。ワイン業界界隈ではナチュールや自然派とも呼ばれていますが、オーガニックやビオディナミのような明確な基準があるわけではありません。

話を"ビオ臭"に戻しますと、上記の説明からして"ビオ"臭= ビオロジックorビオディナミの事を指しているのかと考えていました。しかし、その使われ方を注視しているとナチュールワインの事を指しているんじゃないかと思うようになりました。なぜなら、ビオロジックだから/ビオディナミだから、特定の香りや味わいがするという事は基本的には無いからです。勿論、断定するわけではありませんが、自分の経験上、オーガニックやビオディナミを確信を持って、ブラインドテイスティングで結論づける事は極めて困難であり、推測の範囲を越しているように感じます。つまり、多くの方が"ビオ臭"という呼ぶ香りはオーガニックやビオディナミのワインでは無いのではないかと推測しました。

では、"ビオ臭"の香りの正体は何でしょうか!?

経験上、ナチュラルワインに出てくる特有のフレーヴァーを指しているのではないかと考えました。

では、実際どのような香りや味わいがするのでしょうか!?

ナチュラルワインの多くはフィルターや清澄剤などを使わなかったり、亜硫酸塩(保存料)を少量もしくは全く無添加のワインが多いため、独特のフレーバーが生まれる事があります。

例えば、還元臭(擦ったマッチ、玉ねぎ、腐った卵、排水溝など硫黄を彷彿させる香り)、ブレット(馬小屋臭)、揮発酸(お酢や除光液。味わいもお酢っぽい場合があります)、ネズミ臭や豆臭などの香りが挙げられます。

但し、難しいのがネズミ臭や豆臭はナチュラルワインにしかほぼほぼ現れない香りですが(ワインのfree亜硫酸が極端に低いのが主な原因らしいです)、その他の香り(揮発酸、還元臭やブレット)は近代的に作られているワイン、オーガニックやビオディナミにも感じられる事もある点です。従って、その香りが少し感じたからと言って、ナチュラルワインだと断定する事は極めて難しいように思います。例えば、イタリアの長期熟成の赤(ie ブルネッロやバローロ)は樽での長期熟成により揮発酸が感じられる(鼻がツンとする)事もありますが、オーガニックやビオディナミである事の方が多いと思います。

大雑把に言うと、通常は揮発酸や還元臭の香りがしても、適量の亜硫酸を添加している場合は、その濃度が低い数値のため、ワインを支配する事が稀であり、気になる事が少ないです。

しかし、多くの亜硫酸無添加のナチュラルワインの香りや味わいは、還元臭、揮発酸、豆臭などが極めて高い水準にある事が多いため、嗅いだ瞬間に一瞬にして、ナチュールだと見極める事ができる場合が多いです(勿論、全てのナチュールワインではないです。非常に綺麗に作って欠陥臭が感じられないものもたくさんありますが、一般的に市場に出回っているものはブラインドテイスティングで分かるものが多いように思います)。

つまり、業界内で"ビオ臭"という言葉はナチュールワインの事を指しており、ビオロジックやビオディナミの事を言っていないと推測できます。

ー般の方はワインを楽しむために飲まれているため、厳密に知っている必要はありませんが、業界人は軽率に使うと誤った認識を一般の方にも伝えると同時に、誤認識が広まる事にもなりかねないため、言葉の選択は気をつけないければいけないと、自戒の念を込めて感じました。

最後に、大まかに通常のワイン(近代的なワイン)、オーガニック、ビオディナミの違いを栽培、醸造とそれがワインの味わいや風味に与える影響を表にまとめてみました。個人の主観の部分も入っているため、ご参考程度に。。。

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