2022/7/16 ワイン会 ~Bonnes Mares と僕らはひとつだった~@Aoyama Wine Base
こんにちは!
スタッフの このみ です(・∀・)☆
先日のワイン会ボンヌ・マールにお越しくださった皆さま、ありがとうございました!!
さて、今回も振り返ってみようと思います!
①2015 Bonnes Mares (Lucien le Moine)
ボンヌ・マール (ルシアン・ル・モワンヌ)
モレ・サン・ドニ村とシャンボール・ミュジニー村、二つの銘醸地にまたがっている特級畑のボンヌ・マール。
骨格がしっかりとし、男性的な味わいとされていますね。
ルシアン・ル・モワンヌは、ブルゴーニュでもNo.1ネゴシアンと言っては過言ではありません。
どこのドメーヌたちから買っているかは非公開ですが、それはもう超一流ドメーヌのもの(特級&1級畑)との噂です。
基本的に熟成は1年ですが、ルシアン・ル・モワンヌは、倍の25ヵ月以上の熟成を行います!
そしてその間、酸化を避けるため澱とともに熟成させます。
また、亜硫酸を極力加えず、ワインから出た澱と炭酸ガスで酸化を防ぐという手法もル・モワンヌの特徴です。
澱とともに長期熟成を経たワインは、フレッシュでありながら、旨みに溢れ複雑。
自らの手によるハンドメイドの許容量までしか造らないというこだわりを持ち、どのヴィンテージも生産量は100樽以下。
少量&人気なので、毎回すぐに売り切れてしまいますね!!
2015年:夏は例年より暑い気候になったものの、生育期に十分な雨が降ったことにより、豊かな糖分と凝縮した果実味のブドウが実った高評価の年。
テイスティングコメント:
鮮やかなガーネット色に、ブラックベリーやブルーベリーなどの力強い香り。
樽熟成から来るバニリンなどの若々しいニュアンスも。
瓶内に閉じ込めたガスによる発泡は特に見られない(デキャンタを推奨する人もいるが、これまでガスを感じたことはない)。
飲んでみると、やはりまだ若々しく硬い印象だが、骨格のしっかりした凝縮感のある、ボンヌマールらしい味わい。
チャーミングでわかりやすくとても正直、誰にでも愛されそうな正統派ワイン。
モワンヌはいつのんでもキャラクターがつかみやすく、ビギナー向けにもぜひおすすめしたい。
一流生産者からの上質なブドウ、独自の醸造方法による安定的なおいしさ。
ゆっくりとグラスを傾けながら飲みたいワイン。
いつもル・モワンヌに関しては若いワインを飲む機会が多いので、熟成したものも飲んでみたい。
②2013 Bonnes Mares (Bruno Clair) 0.41ha
ボンヌ・マール (ブリュノ・クレール)
もともとマルサネを中心に畑を持っていたドメーヌですが、現在はコート・ドール全域に数多くの畑を所有。
さて、ボンヌ・マールは畑の全体面積15.06haの内、13.54haはシャンボールに、1.52haはモレ側に属しています。
そして、ブリュノ・クレールとフジュレイ・ド・ボークレールの2生産のみが、モレ側に畑を所有しています。
土壌はテール・ブランシュ。 (ボンヌ・マールの土壌には、テール・ルージュとブランシュが存在し、ルージュはふくよかで厚みのある味わい、ブランシュは繊細でしなやかな味わいを生むとされている)
2013年:全体的に気温が低く湿度が高い気候。 7月は雹の被害を受けてしまい、生産量が減少。
9月の収穫期の少し前は温暖で雨が多かった事から灰色カビが発生し、ブドウが腐敗する事もあった為、厳しく選別する必要があった。飲み頃が比較的早く来るとされている。
テイスティングコメント:
外観は、輝きのある、鮮やかなルビー色。
ルシアン・ル・モワンヌよりも、ラズベリーなど赤系果実のチャーミングな香りに、オークの上品なニュアンスも。
雨の多かった年なので、そこそこ開いてきていると予想していましたが、味わいはこちらも凝縮感があり、まだまだ若々しい印象。
ゆっくりと時間をかけて飲み進めていくと、だんだん開いてきて心地よい飲み心地に。
伸びやかな酸と果実味が心地よい。
③2003 Bonnes Mares (Herve Roumier) 0.29ha
ボンヌ・マール (エルヴェ・ルーミエ)
エルヴェ・ルーミエは、ヴォギュエの支配人を30年間務めたアラン・ルーミエの長男として生まれ、1978年にこのドメーヌを設立(2004年に55歳の若さで他界)。
ジョルジュ・ルーミエの現当主にして栽培醸造を担当するクリストフ・ルーミエとは従兄弟になります。
2004年からは妻のヴェロニクさんとベテランの従業員達により、夫の遺志と情熱を引き継ぎ栽培、樽熟成、瓶詰めを行い、醸造作業のみ、先述のエルヴェの弟、ローランが担当しています。
ヴェロニクさんによると、「ローラン・ルーミエのワインはモダンなスタイル、エルヴェ・ルーミエのワインはクラシックなスタイル」 とのこと。
2003年:4月、ブルゴーニュの赤ワイン用のいくつかの畑では、ノクチュエル(毛虫)が夜に孵って大量発生し、新芽を食い荒らした。
8月、猛暑に見舞われ、収穫時期も早まった。低酸だと思われたが、ある程度の酸がしっかりとみられ、長命なワインになることが予想された年でもある。
テイスティングコメント:
外観は、熟成によりエッジがややオレンジがかる。
香りには、鉄のようなニュアンスも感じられ、少し時間を置くと、チャーミングで繊細なベリーの香りが。
猛暑による熱が感じられるかと予想したが、アタックはかなりやわらかく、じんわりと口中に広がる。
猛暑による熱っぽい印象は、熟成を経て、あまり見受けられない。
決して派手ではないが、滋味深く、やさしい味わい。飲み頃を迎えている印象。
数日後、底の方をテイスティング。ワインはより開き、まろやかな旨みが感じられ、とても素晴らしい。
④2005 Clos de Tart (Mommessin)
クロ・ド・タール(モメサン)
クロ・ド・タールはモレ・サン・ドニの南端に位置する7.53haのグラン・クリュ。
標高270m~300mのなだらかな斜面で、完全に東南東を向いている日当たりの良い畑。
そして、今日まで900年近くの間、一切細分化されていない、とっても珍しい畑でもあります。
クロ・ド・タールが特級畑として認められたのは1939年のこと。
平均樹齢は60年で、もっとも古い樹は100年越え。
もともとモレ側のボンヌ・マールの区画はもっと広かったですが、クロ・ド・タールの石垣の内側で、同一所有者のモメサンのものであったため、1965年、クロ・ド・タールに編入されました。
なので、もともとはボンヌ・マールだったということですね!!!
1141年以降、クロ・ド・タールは、たった4人の所有者しかいない珍しいグラン・クリュ。
ベネディクト派タール修道院(1141ー1891年)
↓
マレ・モンジュ家(1891−1931年)
↓
モメサン家(1932−2017年)
↓
フランソワ・ピノーグループ直轄のアルテミス社傘下(2018−現在)
※シャトー・ラトゥールなどのオーナー
2005年:6月は干ばつに見舞われ、9月の雨でブドウは水分を取り戻すが、早めに収穫したところは、結果的に少しまだ水分が足りず、糖分が低めであることが分かった。
とは言え、凝縮した果実、がっしりとしたタンニンを持つ、健全なブドウが収穫され、上級キュヴェは長期熟成に耐えられるポテンシャルが期待された。
テイスティングコメント:
エッジは若干オレンジがかるが、中心は落ち着きのあるルビー色。
2003と比べると、少し赤みが強いです。
香りは、赤系果実、鉄のニュアンスに加えて、ちょっとスモーキーな香りも。
開けたては、タンニンは溶け込みつつあるがまだしっかりと感じられる。
いいヴィンテージということもあり、飲み頃は、まだかなと。
全体的に閉じ気味でワインにばらつきがあり、味わいが溶け込んでいない印象。
ポテンシャルは感じさせるので更に向上の予感はあるがまだ先だと思う。
モレらしいスミレのニュアンス、筋肉質で強靱なタンニンがテロワールの奥深さを感じさせた。
ここれが、クロドタール。華やかというよりは重心が低めな強靱なタンニンをそなえたバランスの良いワイン。
イメージとしては、なんか黒っぽい。
⑤1996 Clos de Tart (Mommessin)
クロ・ド・タール(モメサン)
1996年:雨が少なく温暖な冬から始まり、3月~4月の春も乾燥。
寒さのある5月でしたが適度な雨に恵まれ、6月に向けて気温は上昇し順調に生育が進む。
6月は乾燥していましたが比較的安定、その後7月~8月も暑く乾燥した気候でしたが、8月後半には気温が下がり、適度な雨が降る。
収穫前の晴天により、高い酸度を保ちながらも糖度の高いブドウが収穫でき、長期熟成の期待できる年。
テイスティングコメント:
外観は、やや赤みがかったレンガ色。
枯葉や紅茶など、熟成感のある香り。
豊かな酸に、タンニンが研ぎ澄まされ細くなりより複雑で濃厚。
2005と比べるとかなり華やかで熟成感がある。
こちらも圧倒的なポテンシャルで、クロドタールのテロワールを感じられた。
今回はじめてクロドタールはたまーにしか飲む機会がないですが、全体的にピノとしては強靱なタンニンも持っていて女性的というよりは男性的なスケール感が感じられた。
⑥1995 Bonnes Mares (Robert Groffier) 0.97ha
ボンヌ・マール (ロベール・グロフィエ)
モレ・サンドニに拠点を置きながらもシャンボール・ミュジニーの一級畑レ・ザムルーズの最大の所有者であるロベール・グロフィエ。
新樽は特級畑で約60%、90年代は100%徐梗。
1995年:1996年同様、優良ヴィンテージだが、気象条件は大きく異なるため、ワインのスタイルには差がある。
6月はミルランダージュ(結実不良だが、一概に悪いとは言えず、好む生産者もいる)がみられた。
その後は好天、雨量も十分だった。収量は少なめだったが、果皮が厚く小粒のブドウからは適切な糖度、しっかりとした色調と熟したタンニンが得られた。
テイスティングコメント:
外観は、エッジはオレンジがかるが、上記の1996よりは赤みが強く、まだ若々しい。
味わいは、まるみを帯び始め、グロフィエらしい芯のしっかりした端正な味わいが楽しめた。
今後も長期熟成が期待できる、ポテンシャルの高いワイン。
ボンヌ・マールらしいオレンジのニュアンスがしっかりと感じられ、タンニンはやわらかい。
男性的なイメージが強いボンヌ・マールだが、その中ではしなやかでやさしい女性的なイメージも感じさせる。
香りの要素が一番強くで、芳醇だった。
⑦1978 Bonnes Mares (Louis Jadot) 0.27ha
ボンヌ・マール (ルイ・ジャド)
ルイ・ジャド社は、1859年に由緒ある葡萄栽培家としての歴史を有するジャド家のルイ・アンリ・ドゥニ・ジャド氏によって創設。
ラベルの酒神バッカスの顔をあしらったエチケットでおなじみですね。
コートドニュイからコートドボーヌまで、広大な畑を持つ。(ドメーヌ元詰めでない畑もいくつかあり)
1970年からジャック・ラルディエールが醸造責任者を務める。
樽会社のカデュやドメーヌ・フェレ(マコネ)を買収し、ドメーヌ・デュジャックやシャトー・ド・ベルヴュを傘下に持つ。
優良年以外は、新樽比率50%以下。
1978年:ミラクルヴィンテージとも言われる、優れた年。
異論もあるが、1959年~99年、あるいは2005年までの間で最高の年とも言われる。
生育期は不調で、結実も少なかったが、9月から素晴らしい天候に恵まれた結果、少ない収量のピノ・ノワールには理想的な熟成条件が揃った。
テイスティングコメント:
外観は、中心からエッジにかけて完全にレンガ色に。
香りは、ドライフルーツや枯葉、マッシュルームなどの熟成香が複雑に入り混じる。
タンニンは完全に溶け込み、酸味はしっかりと保たれ、フィネスに溢れる素晴らしい状態。
継ぎ目のない、まーるい球体のようなやわらかな味わい。
約45年の時を経て、美しく熟成を遂げた、まさに時のしずく。
今回の一番人気は、、、
1978 ボンヌ・マール (ルイ・ジャド) でした!!!
その他、個人的には、
2003 ボンヌ・マール (エルヴェ・ルーミエ) とボンヌ・マール (ロベール・グロフィエ) も次に良かったと思います。
次回はクレ・ド・セラン垂直のテイスティングコメント!
お楽しみに(^^)/☆
(文:このみ)
参考文献:ブルゴーニュ大全