果皮の分厚い品種のテイスティングを終えて

こんにちは、Aoyama Wine Baseのフィゴーニです。

7月3日に 「果皮の分厚い品種」のテイスティング講座をAoyama Wine Baseにて開催しました。

次回は7月31日or8月5日に果皮の薄い品種をテーマにテイスティング講座を実施致しますので、ご興味のある方はお問合せくださいね(figoni@aoyamawinebase.co.jp)!

普段ワインのテイスティングを行う際、初めに色調から見ることが一般的ですが、ある程度色調の濃淡で品種を絞り込むことができます。例えば、マルベックやシラーズのように濃い色をしている場合、果皮の薄いピノ・ノワールやネッビオーロをある程度自信をもって除外する事ができます。

しかし、色調が類似している場合、色以外の情報(香りと味わい)で品種や産地を絞りこまないといけないため、ブラインドがより難しくなるとも考えられます。

今回の講座の流れとしては、

果皮の分厚くなる(または、ワインの色調が濃くなる)要因をブドウの性質、栽培、醸造の観点から説明を行い、その後、ブドウの品種や産地をどういった手順で絞り込んでいくかを説明しました。そして、それぞれのブドウ品種の特徴と産地によるスタイルの違いを解説したのち、ブラインで6種類のテイスティングを行いました。

供出したワインは以下6種類のワインです。

ざっくりとワインの特徴の比較を述べますと、

Cantena Zapata

マルベックは色調が明確に紫色で強烈なスミレのようなフローラルなアロマが特徴的でした。カンテーナ ザパタのトップレンジワインは標高の高いエリアで収穫されたブドウから作られているため、スタイルはエレガントでアルコール度数も13.5%と控えめ。ニューワールドらしく、フルーツフォワード、欠陥の無いクリーンなワイン作りから、旧世界は除外されますし、これだけ、鮮烈にスミレの香りがする品種は嗅いだ事がありません。素晴らしい品質のワインです。

Peter Lehmann

ピーターレーマンの作るバロッサのシラーズも非常に典型性があり、ブラインドでは分かりやすかったと思います。大ヒントがユーカリの香りです。ミンティーな香りはニューワールド(アメリカ、チリ)で感じる事は多いですが、ユーカリが来ると高い確率でオーストラリア。フルーツフォワードなスタイルに高アルコール(14.5%)は新世界の可能性が非常に高く、ブルーベリーのタルトやコーヒーの香りはシラーズに感じることが多いです。カベルネのようなカシス、杉、ハーブの香りは感じませんしタンニンや酸も穏やかです。ただし、思いの外、味わいは冷涼感があり、エレガントで線が細かったため、アルコール度数を穿き違えるかもしれません。2011年は雨が多く比較的、冷涼なヴィンテージだっとことが影響しているかもしれませんね。

Vincent Paris

Cornasは同じくシラーが100%のワインで、ラベルにGranit60と書かれてあるのは、斜度が60%もある花崗岩の土壌から作られる所以です。60%もあると、立ってられないくらいの急勾配です!! こちらのワインも非常に典型性の高いワインでした。香りはSavoryでブラックオリーブや黒胡椒の香り(Rotundoneは冷涼気候で強く感じられます。)がはっきりと感じられ、一部全房発酵由来のハーブのニュアンスを感じられます。味わいも中程度のアルコール(13%),しっかりとした酸味とタンニンが旧世界の冷涼地域であることの予想がつきます。

Chateau Le Prieure

ボルドー右岸、サンテミリオンのメルローも判別するポイントがいくつかありましたが、このあたりから、ブラインドがかなり難しくなるように感じます。メルローが熟成することにより出る、キノコや腐葉土のような旨味の香りが全面に出ていました。ただし、味わいはメルローにしては酸味が鋭角的だったため、冷涼なヴィンテージであったから、もしくはカベルネ・フラン(酸が比較的高い)がブレンドに入っていたからとも考えられます。ニューワールドと間違えないポイントはやはり、フルーツフォワードではない点、果実も過熟・ジャミーではなく、パリッとしたフレッシュな果実感が感じられる所にあるように思います。

Rodney Strong Vineyards

次に、ソノマのカベルネ・ソーヴィニヨン。アルコールが15.2%でフルーツフォワード、欠陥のないクリーンなワイン作りから旧世界はすぐに消えますが、問題は品種。ラズベリーやイチゴのコンポートのよく熟した果実、ただし比較的明るくフレッシュな香りも感じられ、香りのみからカベルネにありつく事が難しいです。味わいは、熟した果実と酸味のバランスが良く、日差しが強いが、涼しいエリアで栽培されたブドウを想像させられます。タンニンはしっかりと歯茎で感じられ、苦味もアフターに若干残ります。これだけ、しっかりとタンニンを感じられるニューワールドのワインはカベルネ・ソーヴィニヨンの可能性が高い事を示唆しています。ただし、自信を持ってアメリカのカベルネと断定できないため、シラーやメルローなどと迷うと思います。

Bodegas y Vinedos Alion

最後に、リベラ・デル・ドゥエロのテンプラニーリョです。

香りはsavoryでレザーのニュアンスが感じられるため旧世界。よく熟したチェリーの香り、パリッとした溌剌とした酸味とチョークのようなタンニンが特徴ですが、サンジョベーゼとも間違えそうです。ニック ジャクソンMWによると、チョーキーなタンニンが頬で感じるのがテンプラニーリョの特徴(シラーはチョーキーなタンニンが舌で感じられます)だそうです。言われてみると、確かにチョークのようなパウダリーなタンニンを感じます。アメリカンオークをがっつり使っていて、酸が高く、明るい赤系フルーツ系のワインでしたらリオハだと当てられる気はしますが、フレンチオークでモダンスタイルだとなかなか、ブライドで当てる事は難しいと感じます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA