チリのテロワール

こんばんは

Aoyama Wine Baseのフィゴーニです。

今日もワインについて熱く語ります。

テーマはチリのテロワールです。

チリワインと言えば、安旨ワイン、スーパーでよく売っているワイン、

というイメージがあるのは僕だけでしょうか!?

実際、日本のコンビニやスーパーで見かけるチリワインの多くは1000円以下のものが多いですよね!?

安くてフルティーで親しみやすいクリーンなワインが輸出先で人気がでた事で

業界が質より量に傾倒した時期があったのも一要因かもしれません。

同じ3000円ならフランスやイタリアワインを買おうかな〜

という消費者が多くなる理由も頷けます!?

但し、結果的にチリワインの購買単価が低い状況は

業界全体に必ずしもプラスではない事ではないでしょうか!?

例えば、

資本力のあるワイナリーが(チリでは80%ほどのワインがトップ4社によって生産されている)、

低い価格でブドウを買い入れることで、

農家さんの最低生活水準が保証されないような状況が実際あります。

(勿論、アルマヴィーヴァやエラスレスなどの高級なブランドワインも最近は増加傾向にありますが、

まだまだバルクワインなどの安ワインのイメージが抜けきれないです。)

実際、南アフリカなどでもワインの単価が上がらず、

労働者の最低生活水準が保たれないなどの社会問題が現在発生しています。

このような流れもあり、ワインのヴァリューを上げる事が必須の課題となり、

その対策として

ブルゴーニュ的なテロワールを反映させた格付けの導入、

古木の再生、クローンの見直し、高級ワインの生産やブランド化、

単一畑ワインの生産など世界中のワイン生産地が取り組んでいます。

チリでもこのような流れを受け、より冷涼な地域での栽培、

南部地域や沿岸部への進出、小規模生産者の増加など、

テロワールという付加価値をボトルに乗せる事で量より質の動きが

近年活発になっています。

【チリのテロワール】

チリはアンデス山脈と太平洋に挟まれた南北に細長い国で(1400km)、

多様な気候、土壌やミクロクリマがあり、様々なスタイルのワイン

が作られるため一般化は難しいものの、

概して緯度の低さと晴天と日照が強く乾燥した温暖な地中海性気候です。

そのため、ブドウは長い期間を通してしっかりと熟す事が可能なため、

高級ワインから大量生産のバルクワインの生産が作られ理想の土地です。

以下、チリのテロワールについて詳しく語ります↓

チリのテロワールを語る上で欠かせないポイントとして

山、海、緯度と3つの観点があると個人的には思います。

一つ目は海岸線を北上する寒流の影響です。

この寒流はフンブルト海流と呼ばれますが、

お昼頃に暖まった大地の空気が上昇する事で、

内陸に海からの冷たい風と霧が引き込まれていきます。

その結果、海岸沿いの産地(San Antonio, Leyda, Casablanca valley)

はとても冷涼で日照時間と積算温度が海岸山脈の東にある産地に比べて

少なく、ピノノワールのような早熟の品種に適していると言われます。

例えば、カサブランカバレーは生育期間がマウレなどのセントラルヴァレー

より約1ヶ月ほど長いと言われます。

この長い生育期間を通して果実風味を蓄え、酸を残しながらも、

アルコール度数の比較的低いフレッシュなスタイルが作られます。

また、シラーなども作られますが、内陸に比べ、低アルコール、フレッシュで

スパイシーかつ果実味のあるスタイルに仕上がる事が多いです。

しかし、同時にとても乾燥していてオーガニック率は高いのですが、

灌漑は必須で、また近くに主要な川が流れていないため、

アンデス山脈の溶水をパイプで引っ張てくるようです。

また、水は貴重なためドリップイリゲーションが主流のようです。

ドリップ灌漑はfurtigation(農薬の散布)も同時できる所がメリットですね。

二つ目に山脈の影響です。

主に冷涼な風や霧を遮るため、海岸山脈以東は温暖な気候になります。

(例えば Maipo, Maule,Rapel,Curico valleyなど)

ここでは晩熟なカベルネ、カルメネールやメルロが主役で、

高アルコール、重厚でパワフルなスタイルが伝統的にはつくられていました。

比較的肥沃な土壌が多く灌漑を行うための川も流れており、

平地で機械化もしやすいため、高収量で果実風味の薄い

大量生産用のブドウの栽培も適しており、多くのバルクワインはこの地域から作られます。

 ※近年は地球温暖化の影響もあり、旱魃のプレッシャーが問題になってます。

そのため、より雨の多い南の産地を目指す生産者も増えています。

しかし、近年のクオリティ思考とフレッシュかつ低アルコールのトレンドにより

90年代ごろから冷涼な海の影響を受ける海岸山脈が開拓され、

重厚さとエレガンスの中庸(新樽率は従来より低く抽出も控える)をいくスタイルが主流に

なっています。

上記と同じ流れにより

アンデス山脈の麓やその斜面の栽培も活発になっています。

ブドウは高い標高と夜の冷たい風が流れてくるため、

ブドウに酸がしっかりと残ります。

また、土壌は比較的痩せており、

紫外線が強いため、身が小さく皮の厚い凝縮したブドウができる傾向があります。

そのため赤ワインはしっかりとしたタンニンを備えた(firm tannin)ストラクチャーのしっか

りしたワインに仕上がる傾向があります。

マイポヴァレーにある代表的な産地のプエンテアルトではチリ最高峰のカベルネワイン

のアルマヴィーヴァ、ドムスアウレア、カーサレアル、ヴィニエドチャドウィックなど

生産されますね。

最後に緯度の影響です。

南は海岸山脈が切れ海からの寒流の影響と雨が比較的多く降る事(BioBio valleyで1300mm)

が多いため、灌漑が必要ない場合が多いです。そのため、株仕立ての自根で古木の

カリニャン、パイス、モスカテルやサンソーなど昔植えられたものがたくさん残っています。

1970年頃に古木が引き抜かれる事態になりましたが、

クオリティ重視になった90年以降は古木の保護と生産が盛んになりました。

また、緯度が比較的高く(36~38S)太陽の照射が弱い事もあり、

日照時間は長くなる反面, 積算温度が低くなり、

収穫期の温度も著しく低くなるため、

早熟な品種(ピノノワール)や白品種

(シャルドネ、ゲヴェルツ、リースリング、ソーヴィニオンブランなど)

が向いてると言われています。

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